参考文献

お笑いでは「つかみ」と呼ばれる。ドラマでは「プロローグ」。どこぞでは「導入」。欧米では「オープニング」。僕はたびたび「導入」を採用している。しばしば「プロローグ」も使う。

でも本当に好きなのはエピローグ。いわゆる「それから〜」の後日談だ。「バタフライエフェクト」のあの両者がすれ違うシーンが有名だろう。今までにみたエピローグで1番好きだ。「デッドプール」みたいにエンドロール中、メタ発言ぶん回して「あれ?まだいるの?もう帰りなよ」ってのも良い。あれもまたパロディらしいが、ネタ元は忘れた。

唐突だが世のエロアニメ作品の半分程度(経験談)、中盤で話が決着せず、スタッフロールが終わってから、「実はこうでした」、「それから…」とオチがつくものがある。たとえば美人6姉妹とのハーレムものなら、このエピローグで初めて全員とのハーレムシーンが出てきたりする。生意気ギャル催眠堕ち系なら、本編では散々主人公をキモいとか言いながらも身体が勝手にぃぃぃ〜だったギャルが、主人公に従順にもっとぉぉ!もっとちょうだぁぁぁい!になってしまってたり。僕はこれらの演出が大好きだ。言わずもがなだが、ここで抜かずにどこで抜くのだと思っている。おっ!と思った作品でも、エピローグがなくて、(ああ・・・あっあ・・・)と声なき声で謝罪を込めてブラウザバックすることもある。世のエロアニメーターの皆様には、ぜひともエピローグでオチをつけるアレを採用していただきたいと、声を大にして言いたい。

 

話が汚くなった。本日は「導入」が“導入”で、『エピローグ』がメインだった。そんなオチで締めたい。意味わからんでな?俺もわからんもの。

おっさんのマジ

俺は転職する。2度目だ。自分の意思でするのは初めてだけども。

とりあえず今の会社を辞めるにあたって、就業規則を見ておこうと思った。見たのは入社する時の一回。あれは総務に回収されていったはずだ。とりあえず総務のおばちゃんに聞く。管理職の人が持ってるよー、とのこと。嘘つけ、新入社員全員に見せられたあの青いファイルはどこ行ったんや。会社に秘密にされとるな。でもおばちゃんは悪ない。巨乳やから。

本来就業規則というやつは、いつでも目に見える、わかりやすい場所に置かれてなければならないという。あ、今日のうんちくはほぼネットで仕入れたブツなので、間違ってたら鼻で笑ってほしい。課長と部長のデスク周辺、棚などを、夜勤の時にこっそりキョロキョロしてみた。ない。目に見えるとこにないやんけ。どないなっとんじゃワレ。

しょうがないので、もうダイレクトアタックしかない。金曜日、タイムカード切って帰るかーって雰囲気の頃、「就業規則って持ってますか?」と部長に聞いてみた。

「…は?」

「いや、就業規則です」

「…なんて?」

「しゅうぎょう、きそく、です」

あ、ああ、就業規則なーと言いつつ1番下の引き出しの奥から、マッチ一本で燃え尽きそうな紙のファイルがぬっと出てきた。そこかよ。隠す気しかねえ。まあ、と受け取ろうと手を伸ばすも、部長はパラパラとページをめくって、「どの項が見たい?」と聞く。え、くれないの?「あー・・・そうですねえ・・・休暇、について…の情報が知りたくて…」と、もごもごごまかしたが、もう辞めたいってバレてるよな?と思い、続けて「退職についてのページ見たいんです」と言った。言ってしまった。

部長のページをめくる手が一瞬、固まった。「なんで?」と部長は言う。今思えばここでこの言葉はナイよな。

僕は、「いや、辞めよう思ってます」言ってしまった。とっくにバレてるけど。

「いや、俺はなあ、フクザワくんかて今、チームリーダーやろ?せっかくこれからって時に・・・」と、話が逸れて長くなりそうな気がしたので、「いや、とりあえず考えてるだけなんで、就業規則見せてください」と、手を伸ばす。しかしまたヤツがページをめくりだす。どうやら意地でも渡す気はないらしい。見たか、これが我が社の方針であり、企業体質である。

「あ、退職の14日前までに言えばいいんですね」と僕。しかし間髪入れずヤツは、「いや、こんな通りにやられたら、もうたまらんで。こんなん絶対あかん」と部長。なりふりかまってねえなコイツ。こんなクソほどめんどくさい不毛なやり取りを繰り広げ、内容を記録しようと持ってきたノートには「14日前」の4文字だけが刻まれた。トホホ。まじその就業規則見せてほしい。あ、労働局で見れるんか。社員であるうちに見てみようと思う。

しかしながら、僕がこの会社に入った経緯というのは、社長の友達(前の会社の上司)から推薦をもらって、まあぶっちゃけ縁故採用なのだ。この社長のの友達というのは僕の恩人で、僕が会社を辞めてしまうというのは、1番この人に申し訳が立たない。「俺の顔を潰す気か!」なんて怒鳴られたらどうしよう。社長の方がそんなこと言いそうだな。

そんなこんなで、日曜日にスーツ着て、恩人の職場を訪れた。辞めようと思ってますと、話をした。僕ばっかり喋っていた。うんうん頷きながら聞いてくださっていた。

「5年、か」

「はい、5年になります」

「そうか」

「いえ・・・」

「いや、おつかれさん」

最後はそんな感じだった。5年前、この人に救ってもらったのだ。家も仕事も金も恋人も、そんなものでは取っ替えの効かない最も大切だったものを失ったあの頃、家と仕事を与えてくれたのがこの人だった。申し訳ないのと、やったぜ怒鳴られなかったぜってのと、フィフティフィフティーでファイナルアンサーだった。

前後するが、部長は僕が入社した経緯を知ってるので、まずは専務と話すべきやと言われた。そりゃまあ、確かに。現場の運用がどうのよりも、メンツだもんな。どうしよ、やっぱり「俺の顔を潰す気か!」言われそう。気が重い。でも、まあ、いっか。部長との会話も録音したことだし。専務もそんな感じで。

現在2社受けている。誰でも知ってるような大手だ。面接3回だって。バカでねーの。その前に大学名で落とされたらかなわんけど。はあ。

ゆりかごのいてる丘から

雨が降り続いている。雨の楽しみ方を模索してみようと思う。

まずはゲーム。3時間ばかりプレイした後、大いに時間を無駄にしたと自覚できるような、シンプルかつ生産性のない無機質で心の機微が少ないものがいい。テトリスですね。今まさにやってます。一服して、またリスタート。仕事から帰り、風呂も飯も取らずに、画面の隙間をただただ埋めていく。心は反比例するようにただただ空虚。ああ、何してんだろう。洗濯物たたもうと思ってたのに。とりあえず風呂に入んなきゃな・・・

言葉遊びに数学的理屈を取り入れるという発想なんてなかった。嫌いだったから数学と理科。数Ⅰ.Ⅱ.A.B、生物。すべて高校の頃赤点取った教科たち。今思い返すと、嫌いっていう先入観にとらわれていたような気もしている。今の仕事なんてモロ理系なのに。毎日計算ばかりして、乳化だのphだのと数値とにらめっこ。

話が逸れた。発端は高2の頃聴いたRADWIMPSだった。バイトの休憩中にしばしばTSUTAYAに立ち寄って、CD借りては家でMDに焼くという少しひねくれた(金がなかった)音楽探索をしていた。CD高すぎませんかね。グングン話が逸れる。その中のひとつに当時流行っていたRADの3と4。そこに最大公約数という曲があった。歌詞の内容は、まあ要は君と僕が割り切れる最大限の妥協・理解点を探そうよ的なもんで。コレ、僕の当時の先入観を大いに破壊してしまったんです。文系・理系とは、互いに区切りあい、混じり合わないものだと思っていたものですから。僕は国語・社会・英語が得意で、数学・理科が大嫌い。文に理を持ち込まれたんですよ。くだらねえとか思うでしょ。でもそうなんです。事実なんです。あまつさえ面白いなとか思ってしまった。今思い返してRADを聴いてみると、演奏レベルの高さにも驚く。リフかっこいいもの。メロディもいい。バンドとして単純にレベルが高い。耳障りが良い。あの頃は歌詞しか聴いてなかったもんね。気付きようもなかったこと。

なんか音楽の話がしたくなった。初めて買ったCDはミスチルのBOLEROってアルバム。おじいさんにポータブルCDプレーヤーを買ってもらい、CDショップであれこれ考えた中から選んだのがこれ。当時僕は太鼓の達人にハマっていて、そのラインナップにシーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜があり、こいつが入ってるやつにしようと3000円もかけて買ってみることにしたのだった。これがね、未だに聴くもんだからあの時の自分のセンスは間違ってなかったと思うのよ。最初はもちろんシーソーゲームしか聴かんのよ。傘の下の君に告ぐまでいかんのよ。次に聴いたのはTomorrow never knowsだ。いい曲だよな。母がこの曲知ってるっていうから聴いてみたらすごい良かった。3000円もしたんだし、こうなったら一回全部聴いてみようと思い立ち、1曲目、最初っから聴いてみたのだ。ボレロ以外全部好きになった。この曲はねえ、暗いっていうか壮大過ぎるというか、なんか受け入れがたい雰囲気があった。あの頃は「なんかきらい」としか思ってなかった気がするけども。

1番好きなのはEverything (It's you)か、幸せなカテゴリーです。すてーーーーーーーええーーへーーーってやつです。幸せのカテゴリーは曲の雰囲気も詞も大好き。ギターもベースもいい。楽器がとても良い仕事してる。ただの失恋じゃない、もうほんと大きなお世話ってな詞の内容がね、心の表面をナイフで撫でるんよ。チリチリと。

“恋人同士ではなくなったら 君のいいとこばかり思い出すのかなあ? 当分はそうだろう でも君といるのは懲り懲り”

ですよ。ああああああああああああ。死ぬ。穴という穴を己がパーツで埋めつくしたい。バラバラにして。

通した聴いて思ったことが、暗いな。ってこと。でも反対に、当時2003年頃のミスチルってのは明るいっていう印象を持っていた。僕は。ていうか明るいやつが聴いてた。ドラマタイアップとか多かったからだろうか。そこにギャップというか違和感を覚えずにはいられなかったのだ。今考えると「バンド感」が薄れていったように思う。ロックバンドからポップスにモデルチェンジしたのだ。このことが良いのか悪いのか、ファンも大いに思い悩むところだろう。僕は、クソだなと思うよ。桜井さんが貼りついたようなニコニコ顔でエモーショナルに歌い上げてるの。曲の構成っていうかミックスも、頭悪くなりそうなシンセが中心に移行していってる。逆に歪んだギターはほぼほぼ聴こえない。しかし曲の構成は元々AメロBメロサビの王道J POPスタイルだったから、そこまで大きな違和感ではない。結局ソングライターの桜井さんと、プロデューサーのコバタケによるところが大きいのだろう。意識が変わったんだろうな。どっかで。面白くない。でもいいのだ。アーティストは彼らだけではないのだから。気に入らなかったら別のを聴けばいい。残念だなとは思うけど。しょうがねえ。

すっっっごい話を戻すんだけど、最大公約数って言葉を聞いたの、もう一個あったわ。ハルヒだ。キョンがモノローグで言ってた。「宇宙人や未来人や超能力者が〜〜でもどこかにいたらいいなあという最大公約数的なことを考えるようになった」って。多分RADの時はスルーしてた。このキョンの独白で「そういえばRADのアレも」って気付いたのだ。多分そう。それだけ。あとらもさんの本でも見た気がするぞ。男はみならもさんを読むべきだ。そして憧れろ。大人を、老いを楽しめる男であれ。まずは「今夜、すべてのバーで」で、モラトリアムを卒業するところから、是非始めてみてほしい。

呪い

ぼーっと車窓を眺めながら、あー、着くまでに日記書けるかなーなんて思い、知能指数ガンガンに下げながらぽちぽちしたためたのだった。稀に見るクソ文章で笑えなかった。Yahooニュースのコメント欄でもなんぼかマシやぞ。AV女優のツイッターアカウントにまとわりついてる中年男性の文章力よりはなんぼかマシだと思いたいけど。

先日の出玉勝負、ギャンブルの神に1人愛していただきました。1万1834発。相方もラストに全回転引き、優勝。最下位から賞金もらい、ウハハと勝ち逃げ。ラムちゃんの新台で17連。ラスト1時間、エヴァで少し色が付いた。ここ2年ほど玉を換金した記憶がなかったのに、この場で豪運。寿司とソフトクリーム食って寝ました。たまにはいいもんだ。勝てば官軍さ。

呪いの存在を信じるか。僕は信じるよ。だからやすやすと人に恨みなんか抱かないし、抱いて欲しくない。とはいえ、人は誰でも何某か誰かしらの呪いを受けて生きているのだと思う。人間の業を一つずつ紐解けばね、決して浅くなどないよ。たとえば浮気したされただとか、労働環境の軋轢だとか、まったくもって清廉潔白で恨みのうの字でさえ擦りもしない人間でも、どこかで誰かの呪いを受けている。そんなもんだよ。憎しみは愛ゆえだもんね。ただなんとなく嫌いで、ちょっと関わりづらくて、嫌な思い出があったからというだけでそいつを呪い殺そうだなんて思うまい。元々そいつに好かれたかったとか、好きだったとか、愛ゆえなんだよ。裏切られた。信じていた。人を嫌いになる前にはさ、一定の「仲良くなりたい」だとか「好かれたい」って期待があるもんじゃないか。

一回ヤったくらいで、とかさ、言うじゃん。本気にしないわけがないだろう。これは男女問わずだ。僕にも経験があるからな。

大人になったからと言って成長などそうそうするものではない。成長の期待値も才能の一つである。きっかけをモノに出来るかどうかも、一心に努力出来るのかもセンスがいる。「ドントシンクフィール」って言葉あるだろう?俺アレ嫌いなんだ。感覚でモノにするには大いにポテンシャルが必要なのだ。アレは才人の戯言だ。それのない我ら凡人はひたすら考え抜いて、血ヘド吐く努力をして、やりたくないこともやらないと、とてもじゃないが自分をでっかくすることなど出来ない。歳ばっかり食って、序盤でレベル上げも必要な道具・スキルも手に入れてこなかった人生半ばの中年を、立派な「大人」などと呼べるはずがない。哀れな勇者である。

そしてとっくに気付いていると思うが、歳を取れば取るほど、自分を変えたり成長させたりってのは比例して難しくなっていく。すぐダメにはなるがね。脳みそは硬くなっていくらしいからね。シワも刻みにくくなるんだろう。身体も動かなくなるし。心当たりだらけです。しかし人生だけはやり直しの保証がない。輪廻転生を証明できる仙人でも知っていたら教えてほしい。とはいえ、結局死ぬまでこの身体と心と一緒なんだよ。そんな相棒たちを愛してやらんでどうするのだ。マジにならんでどうするのだ。

これらに気付いたのは大学生の頃でした。手遅れかと思ったけど、案外そうでもなかった。おかげでなんとか生きれてる。しょうもないけどわりかし楽しく過ごせている。俺はね、あの時の俺を一回呪い殺してるんだ。死にたくなるほどの自己嫌悪を浴びせて、ねじ曲がった性根を叩き潰して、生まれ変わったんだ。うん、気がする。だけどね。死んでもええわと思うくらい自分を否定してみるのもね、手段の一つだと思うよ。心も身体も意外と丈夫にできてるもんですわい。

感じるな考えろ。頭ひねって思いつく限りのやれることをやれ。身を委ねるな。自分を変えられるのも高められるのも自分だけなのだから。

って、また何度目か自分に言い聞かして寝るのだった。

たばこが吸えなくなったら

電車に乗ってみた。なんとも久しぶりである。密・密・密。わたしの最寄駅から都会まで約20分。人との距離は近い。取れぬ。そんなわたしはこれから都会のパチンコ屋で数人相手に出玉勝負をするのである。リスクだらけのこの作戦にオポチュニティーはほぼない。感染もせず、他の数人よりも出玉を稼ぎ、投資よりも出玉数を確保しなければならない。帰ろうかな。バッセン行きてえ。

 

色んなところでたばこが吸えなくなった。飲食店、パチンコ屋、喫茶店、家。クソが。酒も禁じやがれってんだ。たばこより酒の方がよっぽど人間狂わせるぞ。物理的危害食らうぞ。それに増税。もう死ね。死ぬべきだ。世の嫌煙家は。あ、ラピートだ。かっこいいよねラピート。もう着いたよ。じゃあね。

New Field

思い出しながら日記を書く。なんとも滑稽な行為である。その日のうちに感じた熱をしたためてしまうに越したことはない。昨日あった話よりも、今さっきあった話の方がなんか、強そうだろう?まあ今日のお話は、4.5年は前のアレなんですけどね。

 

初めての風俗は煌びやかな成功(性行)体験として幕を閉じた。しかしあのホテヘルという業態には早々と飽きてしまい、「別にわざわざ金払ってヤらなくてもよくね?」と、また別の手段で貞操を汚したり、ソロ活動を究めようと性感帯の開発や、VRなどを用いたニューステージへとコンティニューするのであった。

 

そのうち、性行為にエンターテインメントを、「楽しさ」を求めるようになる。言ってしまえば、風俗遊びに「愛はない」のだ。どこまでも事務的な性処理のはけ口でしかないのだ。吐き出しても満たされることなどないのだ。行為に娯楽的な快楽を見出そうとして俺がチョイスしたのが「新地」である。

 

大阪には「新地」と呼ばれる長屋の立ち並んだ料亭街がいくつかある。個室でウィメンズとお茶飲んでお菓子食べていたら自由恋愛に発展してハッテンする、そんな店がズラっと並ぶ色街が存在するのだ。今もなお。

 

中でも西成区に存在する飛田新地と呼ばれる長屋街は、全国でも屈指のレベルを誇る色街だ。そこに先輩の車で連れられて4人ほどで乗り込み、1時間ほど歩き回ったことがあった。店先には猫なで声でオス犬どもを誘うおばちゃんズが、「ええ子おるやで」「はよ決めたりぃや」「この娘、今日入ったばっかやで」と、店先の中央にちょこんと座った嬢を持て囃し、誘う。嬢はコスプレあるいは、露出を強調した出で立ちでこちらに手を振る。簡単に言えば、未来の世界の猫型ロボットよろしく、この娘と「あんなこといいヨ、ヤったらええヨ」と、実物を初めから見せ切っているというところに、この色街の最たる特徴がある。パネル指名どころでない、リアル指名だ。

 

青春通りの入り口に立って、およそ100mにも立ち並ぶピンク・紫色を基調とした色とりどりのネオンに彩られた料亭の数々。店先の中心に座り、笑顔で手を振る嬢。招き猫のようにこっちおいで、とおばちゃん。壮観である。この21世紀に非現実的とも言えるユートピアめいた空間を見るだけでも、ここに来る価値があると言えるだろう。

 

そしてやはり、嬢のレベルが高い。最低でも、“中”以下はいない。“中の上”がスタンダードで、週刊誌でグラビアを飾るような“上”の女の子も珍しくない。ただ、よく噂でも聞いたことがあるだろう、この飛田新地、決して安くはない。15分のプレイで1万1千円也。先日書いたホテヘルは1時間で1万円。比べておよそ4倍もの料金を取る計算になるのだ。

 

内容はと言うとだ、ほんとに入れて抜いて終わり、だ。別名「ちょんの間」と言われる名の通り、支払ってパパッと済ませてシャワーもなく靴を履く。とことん薄い。友人数人と行ったとしても、まだ終わっていない誰かを待って数十分、ということはない。一服ふかしていたら大概全員顔をツヤツヤさせて戻ってくる。

 

ひとつ勧める遊び方としては、「あ、いいな」と思ったらすぐその嬢に決めてしまった方がいい。5分後に戻ってきたらもう既に時遅し。知らぬ誰かと二階に上がってしまっていることが多い。後になってツレと感想を言い合っていたら、「え、その娘俺が目をつけてたのに・・・」なんてこともある。ここの出会いはとことん「一期一会」だ。頭で考えるな。下半身のおもむくままに、ドントシンク、フィールだ。

 

ただし、この飛田新地、ここ数年もっぱら行くことがなくなった。内容が「薄すぎる」のだ。入る前に物色しているのが1番楽しい。嬢の態度も事務的で、どことなく冷たい。常連として通ってくれることなどほとんどないと嬢自身も分かっているから、また来て欲しいなんて言うこともそうそうない。なんたって店と嬢の数が多過ぎる。一つの店にも二、三十人は在籍しているだろう。新地全体ひっくるめて、およそ千人にも近い数が存在しているのだ。逆に言えば楽しみ放題とも言えるが、何しろ料金が高い。遊び尽くすには途方もないのだ。

 

しかしそれを含めても、一見の価値はあると断言する。大人の社会科見学にはもってこいの場所だ。新世界で飲んで、新地で遊び、スパワールドで汗を流す。これぞアンダーワールド大阪。帰りの電車から見える景色も、いつもと違って眩く見えるに違いない。野郎どもと市内で飲みに行く機会があれば、その時こそ“飛田新地”というワードを思い出して欲しい。帰り道、ふとにやけ出してしまうような初心に帰る楽しさを保証しよう。

名前をつけてやれ

今日は風俗の話をします。

初めて風俗を体験したのは23歳。社会人1年目、初任給は手取り16万円。そこそこ昇給もした今となっては「ほーん」くらいの金額だが、この間まで日銭貧乏学生野郎だった当時の自分にとっては、何に使っていいのかも想像の付かない金額でありました。母の日が近かったので、とりあえずロフトでタンブラーセット的なギフトを母親に買って郵送し、さて、どうしようと、今なお10万の桁が印字された口座残高を見つめながら思い立った。

「そうだ、風俗行こう!」

先刻までの家族愛などどこへやら、5千円いくらの水筒で満たされた親愛の心は、性愛の欲望へと変貌。5枚の諭吉をATMから召喚、タイトな財布にねじ込んで、天王寺から谷町線へと乗り込んだのだった。

日本橋オタロードケバブの屋台しか無いと思っていたこの土地の異様な空気の正体は、その奥地にある風俗街から滲み出ていたものだと、この時初めて知る。素人目線ではあったが、大阪の風俗情報をネット上を吟味した結果、ここ日本橋にあるホテヘルにヒットした。股間が。価格は60分1万円。ポッキリ。諭吉5人もいらんかったんや。

とりあえず、一旦店に電話してみる。いきなりお店に訪問して、怖い人に囲まれぼったくられて終☆了☆なんて真っ平御免だ。まあ今考えてみれば、一回電話したところで何のリスク回避にもなっていないのだが。

「はい、にゃんだふるぼ○きです」

と、ほんと冗談みたいな店の名前で応答があった。いやいや、ちゃんとネットで見た店の名前と同じだ。おかしいことはない。

とりあえず初めてだということを話すと、ウチに任せてください、絶対満足していただきますと、自信満々な態度で対応されたので、よっしゃ任したろ!と指名なし、フリーの60分1万円で決着が付き、店に向かうことになった。

店の住所近くに着いたが、それらしき店は見当たらない。築40年は経ってそうなボロ雑居ビルがぽつんと立っていた。え、こんなとこにあんの?どこぞのキズモンの事務所やないの?やっぱりこれぼられてるんじゃ…?と不安が立ち込めてくる。とりあえずタバコを一服。意を決してビルの302号室のベルをピンポンと鳴らした。

「どうぞー!」と景気の良い声が聞こえ、ドアを開ける。小さな事務所のような受付カウンターに、ワイシャツ黒スラックスの兄さんが出迎えてくれた。電話した者です〜と緊張を含ませて話すと、もうお任せください!と再び自信満々に彼は答え、料金の1万円を支払うと、横の待合室へ通された。10分ほどお待ちくださいね〜!と彼は去って行き、俺はそこの本棚にあった闇金ウ○ジマくんを読んで時間を潰すことにした。

ちょうど10分くらいだろう、お待たせいたしました!と受付の彼が現れた。読みかけの漫画を棚に戻し、そこで今日1番の緊張が俺を襲う。どんなもんなんや、風俗がどないなもんじゃいと心と股間を奮い立たせ、待合室を出た。

え、ちょっと待って、めちゃくちゃ可愛いやんなにこれ?内巻き茶髪ボブ、タイトなニットの上からわかる二つのふくらみ、わたくしのどタイプの女子が立っている。マジ?うまく行き過ぎちゃうか?こんなことある????緊張感はどっかへ飛んで、熱い血潮が全身を駆け巡った。風俗、さいこう・・・お兄さん、さいこう・・・

そこから先はあまり覚えていない。女の子とお手て繋いでホテルへ。あっという間の60分。サービス内容は、うーん、とりあえず本番はなかった。それ以外の行為を一通りって感じ。愛あるそれはなかったけど、悪く言えば欲望のはけ口にはなった気がする。

どうもヘルスは交渉次第で本番も、みたいな駆け引きがあるらしい。店には禁じられているが、その方が嬢は楽なんだとか。ま、一見さんの自分には高すぎるハードルでござる。

これが初めての風俗体験になった訳ですが、帰り道にフフッとにやけ出して、周りに誰もいないのを確認してははははっ!と笑うくらいには楽しかった。とてもよかった。が、この「ホテヘル」という業態が、風俗遊びのほんのさわり、序章でしかなかったことをもう何年かして知ることになる。それはまた、別のお話で。