あんたの全てを壊して

「趣味は何?」

そう聞かれて何と答える。困る。読書?うーむ、最近じゃよほど気が乗らないと読まないし。料理?毎日するには億劫だけど、時間に余裕があれば手間暇は惜しまない。おお、これは趣味と呼ぶに丁度いいのでは?

しかし初対面の人間相手に、僕の風体はどうも「料理」とか「読書」なんてイメージがつきにくいらしい。ついこないだウェディングプランナーに聞かれたんだ。ご趣味は?って。ひとしきり悩んで、

「・・・読書?」

と言うも「嘘ですよね?」と即答。なめんなよフランク女。

「・・・料理?」

「嘘ですよね?」

ナメナメやぞこんちくしょう。一個も嘘なんか吐いてないのに。本棚が3列埋まるくらいは持っとるわい。全部読んだかは知らん。部長に勧められてとりあえず買った自己啓発やハウツーの類はただのカサ増し。文字通りデッドストックと化している。

 

まあ、今の趣味はマンガだろう。先月までマンガアプリに月1万程度課金しつつ、週一でネカフェに通って気になっているものを新旧王道邪道問わず貪り読んでいる。紙では買ってない。買ったのはストッパー毒島くらい。巻数少ないしいっかーと軽い気持ちで。

中でも衝撃喰らったのがハンター×ハンター。モロ王道。恥ずかしながらこの歳まで読んだことがなかった。ふむふむ、ほうほう、うぅーむ、うおぉ・・・などリアルに声に出しながら読んでしまった。馬鹿みたいに字多い。銀魂より多い。情報量がエグい。これ本当に少年漫画か?

高校生の頃、友達から借りて読んだジャンプで流し読んでた記憶がある。シーンも断片的になんとなく覚えてる。キメラアント編はそのあたりを補完しながら読めたのでまた面白かった。

「脳みそクチュクチュやられてたの、お前だったのかよ・・・」

「あ、あの空からいっぱい降ってきたのは、このじいさんがやってたのね」

「だからゴンさんの髪の毛があんなんなってたのね」

 

「好きな悪役は誰?」

一回も共感してもらえた試しがないのだが、戸愚呂の兄貴がマジの本当に好きなんだ。弟はね、よく言われるよね。かっこいいもんねアイツ。唐突な幽白へのチェンジコート、許せ。

めちゃくちゃ嫌な奴なんだけど、実は〇〇な過去があったとか、飄々として掴みどころのないクールな感じとか、味方でいて欲しかったくらいアツくて強いやつとか、魅力的な悪役あるあるやね。でも戸愚呂の兄貴はちげーぜ。ただただ救いようのない「悪」そのもの、まじもんのクソ野郎なのよ。武道と共に魂も品性も売り飛ばし、見てるこっちが胸糞悪くなるくらいの煽り、実の弟に殴り飛ばされ肉片に。何十話後に輪切りにされた他人の頭の中から再登場したかと思えば、人気投票2位のイケメンに「貴様は死にすら値しない」とか言われ、自身の再生能力を逆手に取られてハメ殺される最期を迎える。いや厳密には死んでないんだけどね。

登場回数は多い割に、目立った活躍が少ない。たいがい強敵の側でひたすら煽り散らしてくる胸糞野郎。こいつが僕はたまらなく好きなんだ。ピカレスクロマンなんてクソ喰らえだ。悪は純然たる悪でいい。読者のヘイトを一心に喰らい、ボス敵の前のかませ犬で儚く散る兄貴。主人公パーティでさえ殺すつもりで描く冨樫に2回も殺されてる。2回にわたってだぞ。こんなヤツそうそういないぜ。まあビジュアルもわりかし好きだ。後期レッチリのジョンフルシアンテみたいじゃん。ロン毛パーマにジャケット姿で彫りの深い感じ。いやたまらん。

ああ、これが語りたかったんだ。満足だ。共感は求めません。ご静聴、ありがとうございました。