New Field

思い出しながら日記を書く。なんとも滑稽な行為である。その日のうちに感じた熱をしたためてしまうに越したことはない。昨日あった話よりも、今さっきあった話の方がなんか、強そうだろう?まあ今日のお話は、4.5年は前のアレなんですけどね。

 

初めての風俗は煌びやかな成功(性行)体験として幕を閉じた。しかしあのホテヘルという業態には早々と飽きてしまい、「別にわざわざ金払ってヤらなくてもよくね?」と、また別の手段で貞操を汚したり、ソロ活動を究めようと性感帯の開発や、VRなどを用いたニューステージへとコンティニューするのであった。

 

そのうち、性行為にエンターテインメントを、「楽しさ」を求めるようになる。言ってしまえば、風俗遊びに「愛はない」のだ。どこまでも事務的な性処理のはけ口でしかないのだ。吐き出しても満たされることなどないのだ。行為に娯楽的な快楽を見出そうとして俺がチョイスしたのが「新地」である。

 

大阪には「新地」と呼ばれる長屋の立ち並んだ料亭街がいくつかある。個室でウィメンズとお茶飲んでお菓子食べていたら自由恋愛に発展してハッテンする、そんな店がズラっと並ぶ色街が存在するのだ。今もなお。

 

中でも西成区に存在する飛田新地と呼ばれる長屋街は、全国でも屈指のレベルを誇る色街だ。そこに先輩の車で連れられて4人ほどで乗り込み、1時間ほど歩き回ったことがあった。店先には猫なで声でオス犬どもを誘うおばちゃんズが、「ええ子おるやで」「はよ決めたりぃや」「この娘、今日入ったばっかやで」と、店先の中央にちょこんと座った嬢を持て囃し、誘う。嬢はコスプレあるいは、露出を強調した出で立ちでこちらに手を振る。簡単に言えば、未来の世界の猫型ロボットよろしく、この娘と「あんなこといいヨ、ヤったらええヨ」と、実物を初めから見せ切っているというところに、この色街の最たる特徴がある。パネル指名どころでない、リアル指名だ。

 

青春通りの入り口に立って、およそ100mにも立ち並ぶピンク・紫色を基調とした色とりどりのネオンに彩られた料亭の数々。店先の中心に座り、笑顔で手を振る嬢。招き猫のようにこっちおいで、とおばちゃん。壮観である。この21世紀に非現実的とも言えるユートピアめいた空間を見るだけでも、ここに来る価値があると言えるだろう。

 

そしてやはり、嬢のレベルが高い。最低でも、“中”以下はいない。“中の上”がスタンダードで、週刊誌でグラビアを飾るような“上”の女の子も珍しくない。ただ、よく噂でも聞いたことがあるだろう、この飛田新地、決して安くはない。15分のプレイで1万1千円也。先日書いたホテヘルは1時間で1万円。比べておよそ4倍もの料金を取る計算になるのだ。

 

内容はと言うとだ、ほんとに入れて抜いて終わり、だ。別名「ちょんの間」と言われる名の通り、支払ってパパッと済ませてシャワーもなく靴を履く。とことん薄い。友人数人と行ったとしても、まだ終わっていない誰かを待って数十分、ということはない。一服ふかしていたら大概全員顔をツヤツヤさせて戻ってくる。

 

ひとつ勧める遊び方としては、「あ、いいな」と思ったらすぐその嬢に決めてしまった方がいい。5分後に戻ってきたらもう既に時遅し。知らぬ誰かと二階に上がってしまっていることが多い。後になってツレと感想を言い合っていたら、「え、その娘俺が目をつけてたのに・・・」なんてこともある。ここの出会いはとことん「一期一会」だ。頭で考えるな。下半身のおもむくままに、ドントシンク、フィールだ。

 

ただし、この飛田新地、ここ数年もっぱら行くことがなくなった。内容が「薄すぎる」のだ。入る前に物色しているのが1番楽しい。嬢の態度も事務的で、どことなく冷たい。常連として通ってくれることなどほとんどないと嬢自身も分かっているから、また来て欲しいなんて言うこともそうそうない。なんたって店と嬢の数が多過ぎる。一つの店にも二、三十人は在籍しているだろう。新地全体ひっくるめて、およそ千人にも近い数が存在しているのだ。逆に言えば楽しみ放題とも言えるが、何しろ料金が高い。遊び尽くすには途方もないのだ。

 

しかしそれを含めても、一見の価値はあると断言する。大人の社会科見学にはもってこいの場所だ。新世界で飲んで、新地で遊び、スパワールドで汗を流す。これぞアンダーワールド大阪。帰りの電車から見える景色も、いつもと違って眩く見えるに違いない。野郎どもと市内で飲みに行く機会があれば、その時こそ“飛田新地”というワードを思い出して欲しい。帰り道、ふとにやけ出してしまうような初心に帰る楽しさを保証しよう。